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- 麻酔科医のための周術期のモニタリング《新戦略に基づく麻酔・周術期医学》
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内容
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序文
序
周術期のモニタリングの目的は,患者のバイタルサインをチェックすることで適切な全身管理を行い,危険徴候を早期に発見し,迅速な治療および対処を可能とすることである.
私が麻酔科に入った1986年ころ,弘前大学では,終末呼気二酸化炭素濃度モニタが全手術室に導入された.動脈血酸素飽和度(SpO2)モニタは,そのときはまだ普及していなかった.外病院に出張麻酔へ行くと,心電図がまだオシロスコープのところがあり,光の点を目で追うと残像として1波形が確認できるオシロスコープでは記録ができず,また1波形しかないので,不整脈が1波形だけ出ると不整脈だったかもという程度の監視しかできなかった.また,自動血圧計も十分な数がなかったので,当時は手動で測定をしていた.
それから約30年が経ち,その間にSpO2モニタが登場し,最近ではそのSpO2モニタで血中Hb濃度や,体液量の指標となる脈波変動指標(PVI)もモニタリングできるようになった.経食道心エコー,連続心拍出量測定装置,混合静脈血酸素飽和モニタ,各種非侵襲的心拍出量モニタ等の循環系モニタが次々と開発され,循環動態の把握が容易となり,適切な輸液および循環管理が行えるようになった.さらには,BISモニタ,聴性誘発電位(AEP)モニタ,運動誘発電位(MEP)等の神経系モニタなども普及し,麻酔深度の調節が容易になり,また神経障害をいち早く察知できるようになったことで,神経系の合併症予防および迅速な治療がある程度可能になった.
このように,現在ではこれらモニタの数値を参考に麻酔管理をすることが多くなった.もちろん,今でも五感は重要であるが,モニタが正確になればなるほど,モニタに頼ることが多くなってきている.しかし,それぞれのモニタの特性や問題点を理解しないで,数値のみを信じこんで麻酔管理を行うと,たいへんな間違いを起こすことになる.
本書では,神経,呼吸,循環,筋弛緩に関する各種モニタを網羅し,それぞれの測定原理や特性,また臨床使用の実際,問題点およびコツについて詳細に説明した.よって,本書が読者の皆さんの日常診療において,麻酔管理上有効に各種モニタを使いこなすための一助となることを期待する.
2016 年1 月
弘前大学大学院医学研究科麻酔科学講座
廣田和美
目次
1章 神経系モニター
1-1 BISモニター (萩平 哲)
1 BIS モニターとは
2 測定原理(計算原理)
3 測定に影響する因子
4 各種麻酔薬とBIS
5 臨床仕様の実際
6 おわりに
Column BISのアルゴリズムバージョン
Column 麻酔の急速導入直後の脳波波形
Column 意識の不確定性原理
1-2 聴性誘発電位(AEP) (萩平 哲)
1 聴性脳幹反応(ABR),中潜時聴性誘発電位(MLAEP),長潜時聴性誘発電位(LLAEP)
2 測定原理(計算原理)
3 測定に影響する因子
4 各種麻酔薬とAEP
5 臨床使用の実際
1-3 運動誘発電位(MEP) (阿部龍一,川口昌彦)
1 測定原理
2 測定に影響する因子
3 各種麻酔薬とME
4 臨床使用の実際
5 おわりに
1-4 体性感覚誘発電位(SEP) (位田みつる,川口昌彦)
1 測定原理
2 SEP波形に影響する因子
3 臨床使用の実際
1-5 視覚誘発電位(VEP)(林 浩伸,川口昌彦)
1 全身麻酔下におけるVEPの歴史的背景
2 測定原理
3 測定に影響する因子
4 各種麻酔薬とVEP
5 臨床使用の実際
6 おわりに
1-6 脳酸素飽和度モニター(NIRS) (位田みつる,川口昌彦)
1 測定原理
2 脳内酸素飽和度に影響を及ぼす因子
3 臨床使用の実際
2章 呼吸器系モニター
2-1 ガスモニター
2-1-1 カプノグラム (佐藤 晋,磯野史朗)
1 カプノグラム波形の生理学的意味
2 測定原理
3 測定に影響する因子
4 臨床使用の実際
2-1-2 麻酔ガスモニター (椎名香代子,磯野史朗)
1 測定原理
2 測定値を解釈する場合に考慮すべき因子
3 臨床使用の実際
Column BIS モニターとの比較
2-1-3 経皮血液ガスモニター (菅沼絵美理,磯野史朗)
1 測定原理と特長
2 測定に影響する因子
3 臨床使用の実際
Column 経皮炭酸ガスモニターの生体肺移植での使用例
2-2 人工呼吸器モニター (小野寺悠,中根正樹,川前金幸)
1 なぜ麻酔科医は人工呼吸をモニタリングしなければならないのか?
2 換気量の測定
3 呼吸機能モニター
4 症例呈示
5 おわりに
Column 呼吸モニタリングとしての評価の限界
3章 循環器系モニター
3-1 動脈圧 (作田由香,藤田喜久)
1 侵襲的動脈圧モニター
2 非侵襲的動脈圧モニター(NIBP)
Column 動脈圧の測定
3-2 中心静脈圧 (作田由香,藤田喜久)
1 測定に影響する因子
2 臨床使用の実際
Column 肝頚静脈逆流現象
3-3 心拍出量 (柘植雅嗣,藤田喜久)
1 侵襲的COモニター(熱希釈式肺動脈カテーテル)
2 非侵襲的COモニター
3 混合静脈血酸素飽和度モニター
4 おわりに
Column リチウム指示薬希釈法
Column 連続COモニタリング
3-4 超音波モニタリング
3-4-1 経食道心エコー法(TEE) (岡本浩嗣)
1 周術期TEEのASAガイドライン2010年改訂版によるTEEの適応と推奨される使用法
2 基本的知識
3 基本的技術
4 発展的知識
5 発展的技術
3-4-2 携帯型エコー (岡本浩嗣)
1 カテーテル挿入時の補助として
2 急変時の即時診断のツール:経胸壁心エコー(TTE)や肺エコーとして
3 神経ブロックや硬膜外穿刺のガイドとして
4章 筋弛緩モニター
4-1 筋弛緩モニター (北島 治,鈴木孝浩)
1 筋弛緩モニタリングの意義
2 筋弛緩モニター測定方法の種類と原理
3 神経刺激の原則とパターン
4 モニタリング部位
5 モニタリングの実際(セットアップ)
Column 最大上刺激とは
Column 現時点では加速度感知型筋弛緩モニターにおけるAMG モニタリングがゴールドスタンダード
Column なぜキャリブレーションが必要か?
Column なぜTOF比で至適回復を評価するか?
5章 パルスオキシメータ
5-1 通常型パルスオキシメータ (尾崎 眞)
1 基本原理
2 使用目的
5-2 進化型パルスオキシメータ (尾崎 眞)
1 体動時にうまくSpO2を計測する
2 パルスオキシメータから得られる指標
3 メトヘモグロビン濃度
4 カルボキシヘモグロビン(一酸化炭素ヘモグロビン)濃度
5 トータルヘモグロビン濃度
6章 体温
6-1 深部体温計 (立花俊祐,山蔭道明)
1 深部体温の測定の意義
2 深部体温の測定の実際
Column 体温モニタリング
Column 体温調節の仕組み
Column 熱流補償式体温測定
6-2 末梢温測定 (立花俊祐,山蔭道明)
1 末梢温測定の意義
2 末梢温測定の実際
Column 麻酔管理中の体温低下の仕組み
Column 体温は厳密に管理すべき?
付録 本書で紹介しているモニタリング機器
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書籍情報
- ISBN:9784521743257
- ページ数:320頁
- 書籍発行日:2016年2月
- 電子版発売日:2021年3月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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