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- 麻酔科医のための周術期の診療ガイドライン活用術《新戦略に基づく麻酔・周術期医学》
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内容
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序文
序文
《新戦略に基づく麻酔・周術期医学》シリーズも節目の10 冊目を発刊することができ,本書『麻酔科医のための周術期の診療ガイドライン活用術』をもって一区切りの予定である.シリーズ1 冊目から一貫して編集の基本方針としてきたことは,できるだけ最新のエビデンスを取り入れ,麻酔科医にとって日常臨床に必要な周術期医学をコンパクトにまとめることであった.そのため図表を充実させ,必要に応じてトピックスの項目をつけるなど,内容を整理しやすい工夫にも心がけた.忙しい臨床業務のなかで必要な章だけを読んでも,前後の章に関係なく理解できるように編集している.
さて,本書『麻酔科医のための周術期の診療ガイドライン活用術』は,他の多くの診療ガイドラインの解説書の形式とはかなり異なっている.すなわち,ガイドラインそのものが指針という形式の解説書であり,それ以上の詳細な解説は余り意味を持たないとの考え方から本書は編集されている.あくまで臨床に即した症例を挙げて,具体的に適応となるガイドラインの活用術を中心として構成している.この点は編集者の意図を十分に理解してもらい,分担者にも各項目を執筆していただいている.
構成としては第1 章に総論を置き,ガイドラインの限界と課題についても概説している.第2 章から第4 章は「症例で学ぶ診療ガイドラインの実践」として,それぞれ術前,術中,術後に関連する代表的なガイドラインの活用術につき,専門家が症例を中心に述べている.第5 章に研究倫理および終末期医療に関する指針を加えたことも本書の特徴である.個人情報保護と臨床研究における倫理は医療者にとって必須の習得事項であり,終末期医療はますます重要性を増す現実がそこにあり,タイムリーな企画ができたと思っている.
本書の編集作業が終わりに近づいた令和2 年の春,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るっている最中である.間違いなく,この感染症は後世まで語り継がれるほどのインパクトを人類に及ぼす.厳しい現実のなか,日々この病魔との戦いの最前線に麻酔科医,とくに集中治療医は立っている.彼らに敬意を表しながら,この戦いの一日でも早い勝利を祈る毎日である.多忙な日常においても,臨床の傍らに常に置いていただける一冊となれば,編集者としてはこの上ない幸せである.
2020年4月
高知大学名誉教授
横山正尚
目次
1章 総論
1-1 診療ガイドラインとは (河野 崇,横山正尚)
1 診療ガイドラインとは
2 診療ガイドライン作成プロセス
3 診療ガイドラインの質の評価
1-2 診療ガイドラインの限界と課題 (河野 崇,横山正尚)
1 EBMに基づく診療ガイドラインの限界
2 診療ガイドラインと医療訴訟
3 エビデンスの質評価
2章 症例で学ぶ診療ガイドラインの実践
2-1 気道・呼吸評価 (浅井 隆)
1 気道・呼吸評価に関するガイドライン
2 予防対策が有効であった症例
3 気道確保トラブルが起こり,対処に難渋した症例
2-2 循環評価 (田中克哉,角田奈美)
1 日本循環器学会の「非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」
2 ガイドラインに基づく循環評価の実際
2-3 薬剤 (佐藤祐子,藤原祥裕)
1 術前薬物療法に関する把握の重要性
2 抗血栓療法を受けている患者の周術期管理
3 周術期抗血栓療法の管理
4 抗血栓療法を受けている患者の麻酔管理
5 虚血性心疾患に対する二次予防としての抗血栓療法を受けている患者の周術期管理
6 抗血栓療法を受けている患者の緊急手術
7 術前降圧薬の内服継続
2-4 周術期禁煙 (羽間恵太,中塚秀輝)
1 JSAの周術期禁煙ガイドライン
2 周術期に受動喫煙患者が術後合併症を発症した症例
3 周術期の禁煙介入が有効であった症例
4 電子タバコ,非燃焼・加熱式タバコ
2-5 術前の絶飲絶食 (川津文子,祖父江和哉)
1 推奨される絶飲食時間
2 胃内容の排出スピードを規定する要因
3 ガイドラインに基づく成人の術前絶飲食の実際
4 小児の絶飲絶食
5 妊婦の絶飲絶食
6 ガイドライン活用上の留意点
2-6 重症患者の栄養療法 (矢田部智昭,横山正尚)
1 ガイドラインに基づく栄養療法の実際
2 ガイドライン活用上の留意点
3章 症例で学ぶ診療ガイドラインの実践
3-1 血液製剤 (北山眞任,廣田和美)
1 「 血液製剤の使用指針」のポイント
2 ガイドラインに基づく輸血療法の実際
3 ガイドラインに基づく自己血輸血の運用
3-2 神経ブロック (森 隆,西川精宣)
1 神経ブロックの有用性
2 抗血栓療法:血栓症の予防・治療のための薬物的療法
3 抗血栓療法中の周術期管理:相反するリスクへの対応
4 抗血栓療法と区域麻酔・神経ブロックガイドラインの作成
5 抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン
6 局所麻酔薬中毒
7 局所麻酔薬中毒治療ガイドラインの作成
8 局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド
3-3 危機的出血 (照井克生)
1 ガイドラインがない時代の母体死亡例
2 ガイドラインを活かした救命例
3 危機的出血への対応ガイドラインを実効性のあるものにするために
3-4 気道トラブル (木山秀哉)
1 JSA気道管理アルゴリズム
2 DAS抜管ガイドライン
3 気道管理ガイドラインの今後
3-5 麻酔薬 (澤田敦史,山蔭道明)
1 吸入麻酔薬
2 静脈麻酔薬
3 鎮痛薬・拮抗薬
4 筋弛緩薬・拮抗薬
5 ガイドラインに基づく麻酔管理
3-6 循環作動薬 (西澤義之,岡本浩嗣)
1 血圧の規定因子
2 術中管理に使用する主な循環作動薬の種類
3 ガイドラインに基づく循環作動薬使用の実際
3-7 予防的抗菌薬 (志馬伸朗)
1 周術期における予防的抗菌薬投与の原則
2 具体的な投与法
3 ガイドラインに基づく予防的抗菌薬投与の実際
3-8 医療安全対策 (西脇公俊)
1 WHO安全な手術のためのガイドライン2009
2 安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のためのプラクティカルガイド2017
3-9 術中モニター (松下克之,山浦 健)
1 ガイドラインに基づく標準モニター選択の実際
2 ガイドラインに基づく追加モニター選択の実際
3 プラクティカルガイドに基づくMEPモニタリング時の麻酔管理の実際
4章 症例で学ぶ診療ガイドラインの実践
4-1 術後痛管理 (石田高志,川真田樹人)
1 Guidelines on Management of Postoperative Pain
2 ガイドラインに基づく術後痛管理
4-2 術後せん妄 (青山 文,横山正尚)
1 ESAの術後せん妄ガイドライン
2 POD予防対策が有効であった症例
3 PODを発症し,その治療に難渋した症例
4-3 日帰り麻酔への対応 (武田敏宏,白神豪太郎)
1 日本麻酔科学会,日本臨床麻酔学会が掲げる「日帰り麻酔の安全のための基準」
2 AAGBIとBADSが策定するガイドライン:Guidelines for day-case surgery 2019
3 ASA,SAMBAの提唱するPONV予防・治療に関するガイドライン:Consensus guidelines for the postoperative nausea and vomiting
4 PONVハイリスク患者の日帰り膝関節鏡手術麻酔の実際
4-4 敗血症への対応 (江木盛時)
1 ガイドラインに基づく敗血症の早期認知
2 ガイドラインに基づく敗血症の初期治療(感染治療)
3 ガイドラインに基づく敗血症の初期治療(循環管理)
4 ガイドラインに基づく敗血症の全身管理
5 敗血症性ショックに対する治療に難渋した症例
4-5 早期リハビリテーション (栗山直英,西田 修)
1 集中治療における早期リハビリテーション
2 ガイドラインに基づく早期リハビリテーションの実際
3 ガイドライン活用上の問題点
5章 研究倫理および終末期医療に関する指針
5-1 個人情報保護 (萬家俊博)
1 個人情報保護法
2 個人情報保護に関する法律とその関連法律・政令・規則
3 個人情報とは
4 医療分野・医学研究分野における個人情報保護に関連するガイドライン等
5 臨床研究における個人情報保護
6 個人情報の保護に関するガイドライン活用のポイント
5-2 臨床研究 (齋藤 繁)
1 臨床研究の特性と社会的責任
2 先進的・研究開発的医療行為を実施する場合の体制として求められるもの
3 倫理綱領
4 倫理指針
5 病院における未承認薬使用,新規医療技術導入におけるさまざまな手続き
6 適否判断部署の役割と審査の手順
7 問題発生を迅速に検知,対応するシステム
8 研究費用の取り扱い
5-3 終末期医療 (森松博史)
1 救急・集中治療における終末期の定義とその判断
2 延命措置への対応
3 医療チームの役割
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書籍情報
- ISBN:9784521743288
- ページ数:303頁
- 書籍発行日:2020年6月
- 電子版発売日:2020年7月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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