“次の一手”を鍛える 心房細動診療の歩みかた

  • ページ数 : 190頁
  • 書籍発行日 : 2021年4月
  • 電子版発売日 : 2023年2月15日
3,300
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商品情報

内容

心房細動“患者”との向き合いかたを,診療ガイドラインやエビデンスは教えてくれない…

心房細動と出会ったとき,熟練の医師は何を考え,どこまで見きわめているのか….多くの教科書やエビデンスを集めても,それを完全に読み解くことは困難です.本書では,診療ガイドラインの行間に隠れた思考の深みや心房細動“患者”との向き合いかたを,心房細動診療の歴史もふまえながら,外来でよく見かける20症例をとりあげ,じっくり考えてみました.循環器内科医のみならず,研修医や医療スタッフも,その神髄にふれることができる1冊です!

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序文


「すみません…,また心房細動です」


これまで心房細動をテーマにした本を何冊か書いてきた私自身,本書は,「またか」と思われてしまうかもしれないと感じています.ですが,心房細動診療はここ十数年の間に様変わりしています.このような心房細動診療の進歩にキャッチアップできるような読み物として,それぞれの時代でトピックとなったテーマについて著してきました.そして現在では,使いやすい薬物が加わった抗凝固療法が普及し,安全性と有効性を兼ね備えたカテーテルアブレーションの適応がますます広がっています.ある意味で心房細動診療は成熟しています.実際,心房細動に関する各国の診療ガイドラインをみると,2000年代初頭から2010年代中盤までは発行されるたびに大きな修正や加筆が見られましたが,最近発表されたものはほぼ微修正にとどまっています.


「実際の症例で考えてみよう」


本書は,このような進歩を振り返りながら,心房細動診療を実際の症例ベースで改めて考えてみようというテキストです.臨床現場では,疫学的または臨床試験的な総論はわかっていても,各患者における各論では迷ってしまうということがままあるはずです.そこで,私の経験した症例20例を提示したうえで,設問を加えてみました.もちろん,患者の顔,体形,動作,話しぶりなどが見えているのと,見えていないのでは大違いなので,正解を追及する必要はありません.また,自分の行った医療が実際に正しかったかどうかを検証することもできません.読者それぞれが自分ならどうするかを考え,そのうえで,私の行った医療を見てもらえばよいと感じています.

今,考えていること…,それは心房細動診療が思ったほどまだシンプルではないということです.将来発達するだろうA(I人工知能)でも,なかなかすぐに答えの出せない症例がかなりあるはずだと確信しています.数多くのクリニカルエビデンスやガイドラインを学んだうえでも,各患者に対して考えるべきことがまだ数多くあることを知ってもらえれば,筆者のこの上ない幸せです.


2021年3月

山下武志

目次

・はじめに

Case 1 心房期外収縮が頻発する女性

Case 2 初発の発作性心房細動

Case 3 健康診断で偶然見つかった発作性心房細動

Case 4 十数年持続する慢性心房細動

Case 5 高血圧を伴う発作性心房細動

Case 6 症候性の発作性心房細動

Case 7 健康診断で見つかった慢性心房細動

Case 8 長くワルファリンで管理してきた慢性心房細動

Case 9 めまいを伴う発作性心房細動

Case10 心不全をきたした頻脈性心房細動

Case11 心房細動に対するカテーテルアブレーション施行患者

Case12 慢性心房細動と冠動脈インターベンション

Case13 腎透析例に発症した発作性心房細動

Case14 拡張型心筋症に初発の心房細動を合併した心不全

Case15 慢性心房細動の経過観察中に発症した心不全

Case16 複数回のカテーテルアブレーション後に生じた息切れ

Case17 抗凝固薬処方下で発症した脳梗塞

Case18 心房細動に対する抗凝固薬服用下で発症した大腸憩室出血

Case19 高齢者・超高齢者の初発心房細動

Case20 multimorbidityを伴う高齢者心房細動

・おわりに

・日本語索引

・外国語索引

column 01 抗不整脈薬の催不整脈作用

column 02 Vaugham-Williams分類

column 03 心房細動の分類

column 04 カテーテルアブレーション

column 05 ジギタリス

column 04 運動耐容能

column 07 CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア

column 08 ガイドラインにおける推奨

column 09 J-RHYTHM研究

column 10 Kチャネル遮断薬の副作用モニタリング

column 11 TTR(time in therapeutic range)

column 12 ANAFIE Registry

column 13 ヘパリンによる橋渡し療法

column 14 AFIRE study

column 15 心不全,心筋症における脳卒中の予防

column 16 アピキサバンの血中濃度:J-ELD AF研究

column 17 不適切減量のエドキサバン:ELDERCARE-AF試験

column 18 左心耳閉鎖デバイス

column 19 アウトカムの競合

column 20 高血圧患者における死亡前血圧推移

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書籍情報

  • ISBN:9784525249915
  • ページ数:190頁
  • 書籍発行日:2021年4月
  • 電子版発売日:2023年2月15日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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