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- ジョーシキ! 腎生検電顕ATLAS
商品情報
内容
腎生検の電顕は腎臓病の病態を把握するのに有用だが,実地ではどこでどのように使用すれば良いのかがわかりにくいのが実情である. 本書は臨床で腎病理を見続けてきた医師が,電顕でどこまで見ることができてどのように使えるかをわかりやすく解説.明日からの診断に使える知識が満載の一冊.
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序文
序
腎糸球体疾患の診断における電顕的手法の有用性はいうまでもない.しかし,包埋,切片の作製,撮影,写真焼き付けなど電顕資料作製の一連の過程にかかる費用と手間を考え,それに見合った臨床への還元とを比較したとき,全症例をルチーンで行う価値があるかどうかは議論の分かれるところである.さらに,光顕診断や免疫診断のあと,ほぼ1ヵ月遅れて電顕診断をすることになり,大半の症例では電顕診断を待たずに治療に踏み切っている.しかし,電顕診断を待って最終診断となる症例,光顕や免疫診断の正当性を確認するために電顕診断が必要な症例,そして,光顕診断だけでは患者の臨床像や病態が説明できず,電顕診断と対応させて説明しなければならない症例なども多数ある.
腎病理医と腎臓臨床医が信頼と協力関係にあり,より水準の高い治療を目指している高度腎疾患専門施設では,腎生検1 症例ごとに病理医と臨床医が十分な情報を交換しながら,真実に近い経験を積み上げていくことが肝要と思われる.それとは反対に,症例に対して制限された情報からの辻褄あわせの解釈は本当の経験になっていかない.その意味で,電顕的検索は,病気の発症に超微形態の現場を提供し,機能と形態の橋渡しをすることにより,疾患や病態の理解により多くの確かな情報を提供して公正な判断の一助となっている.
本著では腎生検の電顕所見の読み方を総論的に理解し,それを基盤とした各疾患の診断法について,電顕の需要用途別に系統的に整理した.さらに重要であるがまだ解決していない分野をできるだけ明確にして,電顕が光顕や免疫所見の見方に影響を与えるトピックスも掲載した.臨床病態の把握と腎生検の超微形態学が両輪となって,診断のみならず,より正しい病態の把握や,より確かな治療法の選択に役立てば幸いである.
2016年5月
城 謙輔
目次
総論
1 腎臓の正常構造とその名称
1 腎臓の肉眼構造
2 腎小体
3 尿細管
4 傍糸球体装置
5 脈管
2 糸球体の構成要素の変容と疾患との関連
A 導入
1 光顕レベルでの糸球体の構成成分とその変容
2 電顕レベルでの糸球体の構成成分とその変容,疾患との関連
B 糸球体の各構成要素の変容
1 糸球体上皮(足細胞)の病的変容
2 糸球体基底膜の病的変容
3 糸球体内皮細胞の病的変容
4 メサンギウムの病的変容
3 糸球体沈着物
1 上皮下沈着物
2 基底膜内沈着物
3 内皮下沈着物
4 傍メサンギウム沈着
5 メサンギウム沈着
各論
1 顕微鏡的血尿関連症候群
1 菲薄基底膜病
2 アルポート症候群
2 非免疫複合体型ネフローゼ関連疾患群
1 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)と巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
2 糖尿病性糸球体症
3 免疫複合体型ネフローゼ関連疾患群
1 膜性腎症
2 ループス腎炎
3 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)
4 二次性MPGN疾患群,MPGN様病変
5 IgA腎症
4 遺伝性疾患(アルポート症候群とその類縁疾患を除く)
1 ミトコンドリア異常症
2 先天性リソソーム異常症
3 家族性若年性ネフロン癆
4 爪・膝蓋骨症候群,膠原線維性糸球体症
5 先天性ネフローゼ症候群,フィンランド型
6 びまん性メサンギウム硬化症
5 造血器異常関連腎症(パラプロテイン腎沈着症)
A 導入
免疫グロブリン関連タンパク沈着症の成立条件
B 各論
1 腎アミロイドーシス
2 クリオグロブリン血症
3 イムノタクトイド糸球体症と細線維性糸球体腎炎
4 軽鎖沈着症とその辺縁疾患
5 PGNMID
6 家族性分葉性糸球体症,フィブロネクチン腎症
7 結晶構造をもつ疾患群
6 内皮障害関連病変
1 血栓性微小血管症
2 抗リン脂質抗体症候群
3 ANCA関連血管炎
4 POEMS(Crow-Fukase)症候群
7 尿細管・間質,血管病変
1 尿細管・間質の構造
2 移植拒絶腎における間質病変
3 電顕で診断される尿細管疾患
4 血管系
付録
付-1 腎生検における電子顕微鏡の有用性について:文献的視野から
付-2 電顕標本の作製法
1 電子染色法
2 電顕PAM並松変法,PATSC-GMS染色
3 もどし電顕法
4 免疫電顕
5 補助的手法
付-3 電顕像のartifactとその対処法
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書籍情報
- ISBN:9784525258917
- ページ数:219頁
- 書籍発行日:2016年7月
- 電子版発売日:2019年4月17日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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