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- 小児麻酔ポケットマニュアル改訂版
商品情報
内容
小児麻酔を安全に行うための基本と実践知識をまとめた入門書.知っておくべき生理・薬理学的知識から,各科手術における麻酔管理のポイントを小児麻酔のプロがミニマムに解説.ハンディサイズでいつでも参照できる!
序文
監修の序
本書は初版の出版から10 年以上が経過した.ありがたいことに,本書は麻酔科専攻医が小児麻酔に触れるきっかけとなっているようで,今回,出版社の方から改訂のお話をいただいた.これも本書を選んでいただいた皆様のおかげであり,この場を借りて感謝を申し上げたい.
初版発行以来,小児麻酔の臨床現場では大きな進歩と変革があった.プロポフォールの小児麻酔への使用については一時は社会的にも大きな議論となったが,今やプロポフォールを用いた全静脈麻酔は小児にも一般的に行われるようになった.侵襲の大きい開胸・開腹手術は大部分が鏡視下での手技に移行したため,術後鎮痛法も硬膜外麻酔からエコーガイド下の末梢神経ブロックへ移行した.新しいデザインの小児用カフ付き気管チューブの登場により,多くの麻酔科医が乳児でもカフ付き気管チューブの使用を第一選択としている.幼小児の麻酔では複数サイズのカフなし気管チューブを準備して,いろいろ悩みながら至適サイズの気管チューブを選んだりするのは昔話となった.各種のビデオ喉頭鏡の登場により,困難気道への対応が容易になった.静注用アセトアミノフェンやオンダンセトロンが使えるようになり,子どもたちが手術後にも快適に過ごすための選択肢が拡大している.
このような小児麻酔の進歩に対応するため,本書の改訂には坂口雄一先生にお手伝いいただくこととした.坂口先生は複数施設での小児麻酔経験があり,本書の主たる読者である専攻医の方々とも年齢が近いため,幅広い視点で時代にあわせた内容に改訂するには適任と考えたためである.坂口先生のおかげで,これから小児麻酔を修練する若い専攻医にも違和感なく読んでいただける内容になったものと確信している.
日本は,これまで経験したことのない少子高齢化社会に突入しようとしている.国内の出生数は年々減少を続けており,それに伴って,今後は小児手術数も減少していくことが見込まれる.これまでは,小児麻酔の修練は手術室で実際の患者の麻酔管理を上級医とともに経験しながら学んでいく方法が中心であったが,今後は小児手術数の減少と小児手術施設の集約化が進むことにより,こういった現場で学ぶ手法が徐々に困難になっていくものと予想される.近い将来に,高規格シミュレーターを用いたシナリオトレーニングが小児麻酔の研修方法として徐々に広まっていくのではないかと予想している.次回の改訂までに,この分野がどのくらい進歩しているのかが楽しみである.最後に,改訂版の出版にご尽力いただいた羊土社編集部の大家有紀子様,杉田真以子様に深謝したい.
2024年2月
蔵谷紀文
改訂版 編集の序
「小児麻酔は,難しいものなのか?」小児の麻酔は,確かに成人のそれと異なる.これから小児麻酔を学ぶ人には,決して「易しいもの」と伝えるつもりはないが,必要以上に難しく捉えないでほしいとも思っている.本書は小児麻酔の入門書であり,初心者にも理解しやすい形で重要な知識を伝えることをめざしている.今回の改訂は,光栄であると同時に大きな責任を感じながら参加させていただいた.本書を手にした人が,少しでも小児麻酔の面白さと奥深さに興味をもってもらえたら幸いである.
改訂にあたって私が意識した点は2 点ある.まずは知見のアップデートである.初版から10 年以上が経過しており,新たな知見を追加するとともに,最新のガイドラインや臨床のトレンド,外科手技の進歩などの時代変化を反映させた.2 点目は,わかりやすさ,見やすさの追求である.初版の時点ですでに簡潔にまとまっていた本書であるが,あえて全体を見直し,チェックリスト形式にしたり,章立てなどの構成を変更したりした.さらに,初学者の参考になるように,いくつかの疾患を題材に具体的な麻酔例を紹介した.なお,掲載したものはあくまで数多ある麻酔法のうちの一つであることにはご留意いただきたい.
最後に,改訂原稿の執筆を快諾し私からの要望にも応えてくださった星島宏先生および千田雄太郎先生,そして多くのサポートをしてくださった監修の蔵谷紀文先生,羊土社の大家有紀子様と杉田真以子様に,この場を借りて御礼申し上げたい.
2024年2月
坂口雄一
目次
第1章 小児の特殊性と麻酔上の特徴【坂口雄一】
1.生理学的特徴
2.薬理学的特徴
3.胎児循環と先天性心疾患
第2章 小児麻酔の基本的管理【坂口雄一】
1.術前回診と評価
2.麻酔準備
3.麻酔導入
4.気道確保
5.モニタリング
6.循環管理
7.麻酔覚醒
8.術後鎮痛
第3章 各科手術の麻酔
A 脳神経外科【坂口雄一】
1.背景知識
2.麻酔管理の実際
B 眼科【坂口雄一】
1.背景知識
2.麻酔管理の実際
C 耳鼻咽喉科【坂口雄一】
1.扁桃摘出術,アデノイド摘出術
2.気道異物
3.先天性唇裂,口蓋裂
D 小児歯科【星島 宏】
歯科口腔外科の麻酔管理
E 胸部外科【坂口雄一】
1.背景知識
2.先天性嚢胞性肺疾患
3.気管食道瘻,食道閉鎖症
4.先天性横隔膜ヘルニア
F 心臓外科【坂口雄一】
1.背景知識
2.麻酔管理の実際
G 一般外科【坂口雄一】
1.腹腔鏡手術の麻酔
2.肥厚性幽門狭窄
3.腸閉鎖症
4.臍帯ヘルニア,腹壁破裂
5.胆道閉鎖症
6.ヒルシュスプルング病
7.直腸肛門奇形(鎖肛)
8.神経芽細胞腫,Wilms 腫瘍
H 泌尿器科【坂口雄一】
泌尿器科疾患の麻酔管理
I 整形外科【坂口雄一】
1.側弯症
2.骨折,脱臼
3.その他の整形外科疾患
第4章 小児麻酔のプロをめざして
1.小児の区域麻酔【千田雄太郎】
①基本事項
②仙骨硬膜外麻酔
③胸部・腰部硬膜外麻酔
④超音波ガイド下末梢神経ブロック
⑤眼窩下神経ブロック
2.エコーガイド下血管穿刺【坂口雄一】
3.新生児の麻酔【坂口雄一】
4.検査・処置時の鎮静【坂口雄一】
5.さまざまな合併症のある児の管理【坂口雄一】
6.先天性心疾患患者の非心臓手術の管理【坂口雄一】
7.悪性高熱症への対応【坂口雄一】
8.小児の蘇生【坂口雄一】
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書籍情報
- ISBN:9784758111249
- ページ数:269頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年4月4日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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