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実験医学別冊 創薬研究のためのスクリーニング学実践テキスト~アッセイ系の選択・構築から、ヒット・リード化合物の同定、自動化まで

  • ページ数 : 374頁
  • 書籍発行日 : 2022年6月
  • 電子版発売日 : 2022年7月15日
9,900
(税込)
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商品情報

内容

創薬に携わる製薬企業・アカデミアの研究者必読!アッセイ系の基本原理をもとに,手法の使い分け・系の構築の過程を,現場の研究者目線で丁寧に解説.必ず遭遇する問題への実践的な対処法を具体例とともに掲載.

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序文

かつて製薬企業にいた私(編者の1人,新井)がハイスループットスクリーニング(HighThroughput Screening:HTS)に携わるようになったのは1995年の夏だった.会社の上層部から突然よばれ,会社のスクリーニング体制をつくれとのことだった.そして,その9月に米国出張を命ぜられて,同僚のO氏と社外IT関係のF氏と3名で米国に渡り,シンポジウムへの参加,ベンチャー企業への訪問やHTSデータ処理ソフトを開発中だったソフトウェア会社の訪問などを行った.

High Throughput Screeningという言葉にはじめて接したのは,そのシンポジウムでのことだった.当時はまだ米国内でも普及する前であり,海外大手製薬企業でスクリーニングを行っていた研究者も,まだその言葉を知らない時期であり,普及しはじめたのは翌年の1996年になってからであった.出張中の合間や晩には,一緒に行った3名でビールなど傾けながらさまざまな意見交換を行った.IT関係のF氏とは,この出張で同行するために成田空港で会ったのがはじめてだった.スクリーニング,オートメーションロボットやデータ処理等々さまざまな話をするなかで,F氏より,「今回の出張に行くことになって,スクリーニングの勉強をしなければいけないと思って本屋に行ってスクリーニングについての本を探したが,一冊も見つけることができなかった」との話を聞いた.

なるほど!確かにスクリーニングにフォーカスした専門書はないだろうと気づかされた.このときから,私の頭の片隅に,いずれはスクリーニングに関する書物を出したいとの思いが発生した.

それから20年以上も経て,このたび,羊土社さんから本書を出版することになった.スクリーニング学研究会の幹事の皆さんと本書の内容についてディスカッションを重ねた.また,約40名にも及ぶ執筆者の皆さんにもご協力をいただいた.

本書は,これからスクリーニングをはじめようとする初学者の皆さまから,すでにスクリーニングに携わっており経験を積んでいる方々までを広く対象にした.例えば,化合物ライブラリー,スクリーニング後の取り組み,また自動化を推進したいなど,その周辺領域も含めてより理解を深めたいという方々,加えて,ときに辞書的に確認したいなどの用途を想定し,スクリーニングにかかわる事柄についてできるだけ平易に,かつ広く網羅して解説することをめざした.全体としてのまとまりについては課題が残る面もあろうかと思うが,その点についてはぜひご容赦願いたい.

ここに日本初の,創薬スクリーニングを網羅的に解説した本書を出版するに至り,感無量の思いである.研究会の皆さん,執筆者の皆さん,また,これまでスクリーニングを通じて,さまざまなコミュニケーションやお付き合いいただいた皆さまには本当に感謝申し上げたい.そして,本書の出版の過程でご協力をいただいた羊土社の方々にも改めて感謝申し上げます.ありがとうございました!

読者の皆さまには,スクリーニングを実施する際にはぜひ本書を活用していただき,最大限のアウトプットを生み出してほしいと思います.


2022年5月,編者を代表して

日本医療研究開発機構(AMED)/スクリーニング学研究会
新井好史

目次

序章 総論―ようこそ「スクリーニング学」へ!【新井好史】

第1章 スクリーニングカスケード

1 スクリーニングカスケードの設定と戦略【新井好史】

第2章 創薬アプローチ(ターゲット別)

1 Target-Based ScreeningとPhenotypic Screening【岡部隆義】

2 酵素阻害(活性化)【武本 浩】

3 受容体結合阻害(活性化)【村越路子】

4 タンパク質 - タンパク質相互作用(PPI)を標的とした創薬【小田上剛直】

5 イオンチャネルをターゲットとしたスクリーニングの考え方【守口由紀子,我謝徳一】

第3章 アッセイ手法(検出・測定法別)

1 吸光度・濁度測定【佐藤朝実】

2 発光法【桃井道子】

3 蛍光法【高城多恵子,笹又美穂】

4 蛍光偏光【和田玲子】

5 ELISA法【出井晶子】

6 TR-FRET(HTRFとLANCE)【村越路子,武本 浩】

7 Alpha技術によるHTS【竹田浩之】

8 質量分析(MS)〜High-Throughout Mass Spectrometry(HTMS)【寺西文恵】

9 ラジオアイソトープ(RI:放射性同位元素)【佐藤秀樹,村越路子】

10 細胞イメージング【大野 研】

11 物理化学的手法 〜特異的相互作用を評価するための定量解析【長門石 曉,津本浩平】

12 レポーターアッセイとそのHTSへの応用【片岡健輔】

13 GPCRでよく使われるアッセイ【村越路子】

14 イオンチャネルをターゲットとした化合物スクリーニングの概要【日比野良祐,関 梓】

15 細胞毒性アッセイ【米倉慎一郎】

16 タンパク質断片相補アッセイ【出井晶子】

第4章 スクリーニング方法と結果の検証

1 アッセイ系評価【岡部隆義】

2 スクリーニング実施評価【和田玲子】

3 フォールスポジティブ・フォールスネガティブ【岡部隆義】

第5章 化合物ライブラリー

1 化合物ソースの種類(低分子,中分子),DEL【神山 務】

2 化合物管理 〜スクリーニングアッセイは化合物の分注からはじまる【髙宮万里】

3 化合物自動倉庫 〜導入に至る経緯と役割【濱田幸宣】

第6章 プレートアッセイ関連技術

1 マイクロプレートアッセイ【村越路子】

2 分注機の種類と特徴【樽井 寛】

3 プレートリーダー【菅 郷志】

4 アッセイに必要な周辺装置【笹又美穂,村越路子,内田 実】

第7章 自動化(オートメーション)

1 概論―実験の自動化の歴史を知り新たな革新へ【笹又美穂】

2 自動化に貢献する機器の進化 〜分注機を中心に【三井郁雄】

3 実験の自動化に関する基礎知識 〜周辺機器の特徴と選び方【笹又美穂,内田 実】

4 実験自動化システムの分類と導入時の考察ポイント【須山英悟】

5 自動化システムの構築にあたり知っておくべきこと【浅野秀光】

6 自動化システム実践編 “ソフトウェアと自動化” 〜ソフトウェア選択とエラー対策の重要性【内田 実】

第8章 ヒットtoリード

1 ヒットバリデーション【谷口友美】

2 リード認定・過程【神山 務】

第9章 特徴のあるスクリーニング

1 コンピュータを利用したバーチャルスクリーニング【大田雅照】

2 プーリングアッセイ【新井好史】

3 フラグメントベースドスクリーニング【幸 瞳】

4 天然物スクリーニング【村松康範,奥田彰文】

5 感染症スクリーニング【新井好史】

6 DNA encoded library(DEL)スクリーニング【須田三記也】

第10章 データ登録と網羅的解析

1 HTS データ処理 〜データの登録,可視化,網羅的解析【妹尾千明,和田玲子】

第11章 スクリーニング実施例

1 カップリング反応によるキナーゼ阻害剤のスクリーニング【今村理世】

2 Echo MSを利用したスクリーニング【長谷川 司】

3 HTRF法を用いた細胞系HTS【武本 浩】

4 ロミデプシンの発見に学ぶ系設計のノウハウ【上田博嗣】


索引

執筆者一覧

COLUMN

1 データ解析時の信頼性にかかわる用語【笹又美穂】

2 in vivo(個体)アッセイ【辻 直城】

3 IC50と阻害定数(inhibitor constant:Ki)の関係(酵素編)【新井好史】

4 結合実験(binding assay)の基本【新井好史】

5 競合実験(competition assay)におけるKiとIC50(結合阻害編)【新井好史】

6 界面活性剤(Detergent)をうまく使おう【笹又美穂】

7 クロストーク【工藤 勤】

8 クエンチング:カラークエンチングとケミカルクエンチング【工藤 勤】

9 ベイズの定理:ヒットしたのに再現性がない?【岡部隆義】

10 ライブラリー化合物の純度について【新井好史】

11 DMSOの怖い吸湿【髙宮万里】

12 撹拌が重要【村越路子,笹又美穂】

13 静電気によって発生する問題と対応について【内田 実】

14 リガンド効率(ligand efficiency:LE)【新井好史】

15 HTS実施時の試薬類,消耗品などの調達,調製【今村理世】

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書籍情報

  • ISBN:9784758122580
  • ページ数:374頁
  • 書籍発行日:2022年6月
  • 電子版発売日:2022年7月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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