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- シリーズGノート まずはこれだけ!抗菌薬の選び方と使い方のシンプルメソッド
商品情報
内容
「感染症診療のロジック」がわかれば抗菌薬選択に自信がもてる!幅広い診療現場で役立つので,外来医はもちろん,研修医・訪問診療医や,薬剤師・看護師・臨床検査技師などのメディカルスタッフの方々にもおすすめ!
序文
序
皆さん,こんにちは.埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科で副診療部長 兼 教育主任をしております三村一行と申します.
この本は,当院にて初期研修医や内科専攻医の先生たちに教えている,「抗菌薬をひとつに決定するうえで必要な臨床感染症の知見や考え方」を,当院感染症科・感染制御科で教育主任をされている川村隆之 先生と一緒にまとめたもので,主として感染症初学者から次のステージへの脱却を目的にしています.
私自身,2006年に関西で医師としての第一歩を踏み出してから,医学部生時代の国家試験勉強では疾患頻度についてあまり気にすることもなかったので当然と言えば当然なのですが,臨床現場で感染症患者に遭遇する機会がきわめて多いことに大変驚きました.よって,少しでも医学的妥当性の高い感染症診療を行おうと,「ハリソン内科学」や臨床感染症分野で御高名な先生方の書籍を数多く読みました.結果として,「患者背景」や「診断(感染臓器)」・「微生物」・「抗菌薬」という「感染症のトライアングル」から初期抗菌薬の選択肢を複数あげることが少しずつできるようになってきました.その後,2010年に大阪の病院で開かれたHIV の研修会で,当時は神戸大学病院感染症内科におられた現在の上司である岡 秀昭 先生と出会い,衝撃を受けました. その理由は,岡先生が目の前の感染症が疑われる患者に対して「感染症のトライアングル」を用いながら,初期抗菌薬の選択肢を複数ではなく,最適だと思われるひとつにどんどん絞っておられたからです.
それまで私が学んでいた感染症関連の書籍では,例示されている症例に対して推奨される初期抗菌薬の選択肢は複数あげられていることが一般的であり,抗菌薬をひとつだけに絞る根拠まで記載されているものはなかったからです.そして,このときの出会いが岡先生という感染症専門医のファンになると同時に,臨床感染症の面白さに目覚めるきっかけを与えてくれました.その後関東へ引っ越し,岡先生のもとで臨床感染症を学び続けてきました.
本書では,岡先生のような一流の感染症専門医が,どのようにして初期抗菌薬をひとつに絞っていくのか,そして治療開始後のフォローなどについて,できる限り誰でも実践可能な,一般化できる方法について述べています.例えば,「診断(感染臓器)」での発熱診療4ステップ,「微生物」推定での3つの因子と耐性菌に分けた分類方法,「抗菌薬」選択に関する,重症度評価を踏まえた「微生物」3因子+耐性菌カバー範囲の決定,「経過観察」における治療効果判定と3つの臨床経過ごとの考え方や対応方法,などがあげられます.まずは第1章の総論部分で上述した基本となる知識や考え方を学んでいただき,それらの実践を第2章の各論部分で行っていただきたいと思います.また第3章では,主に抗菌薬投与を避けるべき状況について説明しています.
この本が,日々感染症診療に従事している若手医師やプライマリ・ケアにかかわる先生方,抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team:AST)で活動されている医師や看護師,薬剤師,臨床検査技師などのメディカル・スタッフの皆様,そして,感染症診療がうまくなりたいと思っている方々の一助となり,また本書を偶然手に取った方が,私のように臨床感染症を面白いと感じ,ファンになるきっかけになれば望外の喜びです.
最後になりましたが,お忙しいなか一緒に執筆をしてくださった川村隆之 先生のご協力に心から感謝いたします.また,編集の労をとってくださった羊土社の久本容子 様,林 理香 様の多大なるご尽力と雅量にもあらためて御礼申し上げます.
2024年3月
埼玉医科大学 総合医療センター 総合診療内科/感染症科・感染制御科
三村一行
目次
序[三村一行]
付 録
① 感染症診療のフローチャート
② 感染症診療シート
③ 主要抗菌薬一覧
④ グラム染色分類
略語一覧
第1章 総論~感染症診療の流れ
1 はじめに:抗菌薬使用のルーチンワーク ~誰もが実践できる,適切なアプローチ
2 感染症診断のための発熱アプローチ4ステップ
3 診断:最低限必要なものは?
4 原因微生物の推定をしよう ~最低限押さえておくべき微生物の基本知識
5 初学者が押さえておくべき抗菌薬の各論
6 ソース・コントロール評価 ~抗菌薬以外に大切な治療成功要因
7 重症度評価と抗菌薬の初期選択の方法 ~起因菌のカバー範囲を決める
8 治療効果判定 ~臨床経過は「改善,横ばい,悪化」のうちのどれ?
第2章 市中で感染症を診る~症候/疾患別アプローチ
1 肺炎アプローチ ~「発熱+咳嗽+呼吸困難」症例の対応
2 尿路感染症(膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎)アプローチ ~主訴が「発熱のみ」症例の対応
3 胆道感染症(胆嚢炎,胆管炎)アプローチ ~患者因子が複雑な症例への対応
4 蜂窩織炎アプローチ ~クラスター化が重要な症例への対応
第3章 これだけはダメ! 外来での感染症診療におけるNG行動
1 ウイルス感染症疑いに抗菌薬を投与する
2 フォーカス不明型に精査をせずに抗菌薬を投与する
3 不明熱型に精査をせずに抗菌薬を投与する
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書籍情報
- ISBN:9784758123600
- ページ数:188頁
- 書籍発行日:2024年4月
- 電子版発売日:2024年4月24日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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