見逃してはいけない小児救急

  • ページ数 : 336頁
  • 書籍発行日 : 2022年6月
  • 電子版発売日 : 2022年7月1日
4,620
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商品情報

内容

誰が読んでも学びがある! 小児救急でよくある診断エラーやピットフォールを共有し、チームで診断エラーを減らす!

小児救急は軽症の頻度が圧倒的に高いため、緊急度の高い疾患への配慮を忘れやすく、診断エラーに繋がりやすい状況があります。本書では、小児救急でよくある診断エラーやピットフォールを共有し、症例の振り返りを通してポイントや解決法を紹介しています。

本書の対象は、小児の救急外来での診断・判断に関わる方です。経験を積み知識が増えれば、診断エラーがなくなるわけではありません。初学者からベテランまで、それぞれ違った視点で、学びがあるのではないかと考えています。また、救急外来で働く看護師、診療放射線技師、臨床検査技師など、直接、診断・判断をしなくても、チームとして診断エラーを減らすために、本書の内容は役立つと思います。

患者さんを通して学びながら、本書が読者の皆さんのそれぞれに合った診断の仕方、鑑別疾患の肉づけをするためのきっかけづくりになれば幸いです。

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序文

序文


『見逃してはいけない小児救急』に、ようこそいらっしゃいました。あえて「見逃したくて」診療をしている人はいないと思います。しかし、忙しかったり、疲れたり、落ち込んだり……、いろいろな事情があって無意識的に「軽く考えてしまったり」「考えられなくなってしまったりして『見逃しに至る』」ことがあると思います。読者の皆さんの中に、夜、自分が救急外来で診た患者さんが、翌日、違う診断で入院していることを、上級医にそっと耳打ちされたことはありませんか? 後で振り返ってみたら、「なんであの時、そんなことしたんだろう?」とか「運が悪かっただけだと信じたい」とか、思ったことはありませんか?

例えば、胸痛が主訴で胸膜炎と思っていたら肺塞栓だったこと、また、パニックで暴れていたので精神科にコンサルトしたが辺縁系脳炎だったこと、転落して受診し全身診察して帰宅してもらったが、再来時の診察で大腿骨骨折と判明したこと。

いずれも僕が診させていただいた患者さんです。診断エラーは、患者さん、ご家族、そして、診断に関わったすべての人たちに、ダメージを与えてしまいます。しかし人は、エラーをする生き物です。

では、どうすれば診断エラーを減らすことができるのでしょうか。「診断エラーをしないこと」と「正確な診断をすること」は表裏です。ゆえに、本書の第1章の総論では、まず「小児の救急外来での臨床推論」から始まります。小児の救急外来の初診で、正確な診断4 4をつけることは不可能なことが多いです。診断名を無理やりつけるのではなく、最善の判断をすることが大事です。次に、「小児救急での診断エラー」に続きます。そして、診断エラーを減らし最善の判断を行う方法の1つとして「ABCDEの診かたのコツ」を紹介します。これはPALS(Pediatric Advanced LifeSupport)で学ぶ重症小児に対するアプローチですが、すべての患者さんに対して応用して使えます。緊急度を評価する際に活用してみてください。最後に、すべての小児に潜んでいる虐待について考えていきます。

第2章の各論では、まず「あるある」のピットフォール症例や悩ましい症例を紹介します。次に、振り返りをもとに、どのようにアプローチすれば、エラーを避け、より良い判断ができるかを記載しています。診断エラーの症例であっても、決して珍しい症例ではなく、よくあるピットフォールですので、明日出会う患者さんかもしれません。また、鑑別疾患の表をつけています。優先順位をつけて鑑別を挙げるために有用だと考えます。各論を読んでいただく際、診断名を当てるのではなく、診断の過程を一緒に考えていただければと思います。また各論では、直観的思考でエラーが起こり、分析的思考で振り返るという形式にしていますが、ここで示した診断過程や鑑別疾患は、唯一の正解ではありません。限られた時間で行う診療の中で短い時間で診断(判断)できる直観的思考は多くの場合有用です。患者さんを通して学びながら、本書が読者の皆さんのそれぞれに合った診断の仕方、鑑別疾患の肉づけをするためのきっかけづくりになれば幸いです。

本書の対象は、小児の救急外来での診断・判断に関わる方です。診断エラーのところで詳しく述べますが、経験を積み知識が増えれば、診断エラーがなくなるわけではありません。初学者からベテランまで、それぞれ違った視点で、学びがあるのではないかと考えています。また、救急外来で働く看護師、診療放射線技師、臨床検査技師など、直接、診断・判断をしなくても、チームとして診断エラーを減らすために、本書の内容は役立つと思います。

執筆いただいた先生方は、臨床が何より大好きで、教育にも情熱的で、脂が乗りに乗った僕の尊敬する小児救急医たちです。読者の皆さんが、現場で悩み、暗闇の中にいるように感じた時に、本書で光を射すことができれば幸いです。

最後に、温かく僕の背中を押してくださる金芳堂編集部の西堀智子さん、河原生典さん、全国のたくさんの仲間たち、そして、学びと元気を与えてくださる患者さんたちに、最大級の感謝を。

本書が「こどもたちと家族のHAPPY」につながることを願って


令和4年5月

鉄原健一

目次

第1章 総論1

1 小児の救急外来での臨床推論(鉄原健一)

1 はじめに

2 緊急度と重症度

3 すべての患者にABCDEを

4 ABCDEの先へ:二次評価で原因検索

5 原因検索:まずCritical、次にCommon

6 診断仮説の確率を考える:Beyes(ベイズ)の定理

7 Criticalは除外が難しい

8 Common:ゴミ箱診断に注意

9 「パッと思いつく」と「理路整然と考える」:システム1とシステム2

10 解釈モデルとシステム3

11 おわりに

2 小児救急での診断エラー(鉄原健一)

1 はじめに

2 診断エラーとは:診断エラーは他人事ではない

3 小児救急外来の診断エラー

4 診断エラーの予防:いろいろな手を考える

5 おわりに

3 ABCDE の診かたのコツ(鉄原健一)

1 はじめに:すべての患者にABCDEを!

2 Airway(気道):忘れがちだが緊急度は最も高い

3 Breathing(呼吸):胸以外をみる。呼吸の規則性も忘れずに

4 Circulation(循環):血圧が下がったらおしまい

5 Disability(神経):血糖を忘れない

6 Exposure(全身観察):紫斑、外傷に注意

7 ABCDEのまとめ

8 おわりに

4 虐待の認知:内因系、外因系の中からどのように見つけるか(岡田広)

1 はじめに

2 外因系の受診

3 内因系の受診

4 おわりに

5 傷害予防(岸部峻)

1 はじめに

2 傷害予防の一般論

3 医療者が病院でできること

4 症例と傷害予防のピットフォール

5 おわりに

第2章 各論

1 呼気性喘鳴(鉄原健一)

2 吸気性喘鳴(木村翔)

3 咳嗽(岸部峻)

4 頻呼吸(野澤正寛)

5 鼻汁(染谷真紀)

6 発熱①(竹井寛和)

7 発熱②(竹井寛和)

8 頸部腫脹(福政宏司)

9 胸痛(浦田晋)

10 心雑音(浦田晋)

11 嘔吐(木村翔)

12 下痢(木村翔)

13 腹痛①(岡田広)

14 腹痛②(岡田広)

15 不機嫌(染谷真紀)

16 頭痛(染谷真紀)

17 けいれん(浦田晋)

18 興奮(富田慶一)

19 意識消失(浦田晋)

20 意識障害(野澤正寛)

21 発疹(竹井寛和)

22 跛行(森脇太郎、富田慶一)

23 上肢を動かさない(福政宏司)

24 頭部外傷(木村翔)

25 顔面打撲(岸部峻)

26 口腔挫創(福政宏司)

27 異物誤飲(富田慶一)

28 薬物中毒(岸部峻)

29 熱傷(野澤正寛)

30 熱中症(大石高稔、富田慶一)

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書籍情報

  • ISBN:9784765319126
  • ページ数:336頁
  • 書籍発行日:2022年6月
  • 電子版発売日:2022年7月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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