医療者のための英語の書きかた・読みかた・訳しかた

  • ページ数 : 340頁
  • 書籍発行日 : 2024年12月
  • 電子版発売日 : 2024年12月3日
4,180
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商品情報

内容

医学英語論文の執筆・翻訳の両方を同時並行的に学べる!

「日本語→英語」「英語→日本語」の翻訳のために,医師と翻訳家の共著によって,英文構造の芯から解説!“いかにも日本人っぽい英語”から抜け出すための思考回路を手に入れ,翻訳のクオリティを高めることを目指す!
テクニックやコツを学ぶだけでなく,英語脳の体幹まで鍛えられます!

序文

序文


とてもユニークな本ができあがりました.

ユニークな点の第1は,医療関係者と翻訳専門家との共著という点です.お互いに,自分の担当部分だけでなく本書全体を見渡しながら執筆したので,医学的内容についても翻訳のクォリティについても確認しあいながら作業を進めることができました.

ユニークな第2の点は,内容です.第1部と第2部はそれぞれの担当者が単独で執筆しましたが,共通のテーマが2つあります.1つ目のテーマは,訳文の「体幹を鍛える」ということです.「○○を英語(日本語)で何というか」に終始するのではなく,意味の強弱やつながりを意識した訳文を書くことを重視しています.2つ目のテーマは,「読者の気持ちに沿う」ということです.これは,第1部の「読み手効果」「読者の労力」,第2部の「読者期待」「読者の負荷」といったキーワードに表されています.読者の気持ちに沿った訳文を書くことにより,その内容が正確に伝わりやすくなります.

英文和訳についての第1部(田宮担当)は,英語の理解だけでなく訳文の日本語のクォリティを重視しています.本文にも書きましたように,「英文和訳のよし悪しは訳文の日本語で決まる」というのが著者の持論だからです.一応ひと通り訳すことはできるけれども,直訳っぽい硬い日本語からなかなか抜け出せない,という方のお役に立つと思います.

和文英訳についての第2部(前平担当)も,単に日本語を英語にどう置き換えるかではなく,英文全体の構造に着目して,書き手の考えが読み手に伝わりやすくなるようなコツが満載です.一応文法的に正しい英文は書けるけれども,いかにも日本人っぽい英語からなかなか抜け出せない,という方のお役に立つと思います.

練習問題も付しましたが,翻訳には正解が1つだけあるわけではありません.

解答例よりももっと優れた訳がないか考えてみてください.

著者が医師になった40年近く前と比べると,最近はインターネットやオンラインジャーナルの普及もあって,医学英語にふれる機会が格段に身近になったように感じます.日進月歩の医学的知見のコミュニケーションのために,本書が少しでも役立てば幸いです.

最後に,診断と治療社の小室裕太郎氏は本書企画時の担当で「生みの親」として,田邉栞氏はそれを引き継いで「育ての親」としてかかわってくださいました.お二人に感謝いたします.


2024年10月

田宮 聡

目次

序文

第1部 英語 ➡ 日本語  田宮 聡

Introduction 翻訳についての基本的な考えかた

Chapter 1 より正確な訳文へ

1 直訳に気をつける

 練習問題

2 原文の語句の品詞に気をつける

1)品詞は何?

 Colummn 1 significantは重要だ?

2)代名詞

3)関係代名詞

 練習問題

3 原文の動詞の活用に気をつける

1)仮定法

 Colummn 2 変幻自在のshould

2)過去完了形

3)時制の一致

 練習問題

4 原文の語句と語句の関係に気をつける

1)修飾語と被修飾語

 Colummn 3 有効性と有用性

2)否定表現

3)語句の省略

 Colummn 4 訳しにくい語(1):challenge

 練習問題

5 原文の問題に気をつける

6 どうしてもわからないとき

 練習問題解答例

Chapter 2 より自然な訳文へ

1 文法の違い

1)不可算名詞

 Colummn 5 コピー?

2)複数形

 Colummn 6 ティーンエイジャー

3)代名詞の性

 Colummn 7 i.e.とe.g.

4)主語を訳す? 訳さない?

 Colummn 8 aggressive

2 表現の違い

1)日本流に変換する

 Colummn 9 医療用語

2)主語は人?

 Colummn 10 訳しにくい語(2):entail

3)受動態? 能動態?

 Colummn 11 work with

4)名詞より動詞で訳す

5)前置詞+名詞=?

 Colummn 12 assent とconsent

6)代名詞はそのまま?

 Colummn 13 incidence, prevalence, rate

7)どの語句を否定する?

8)二重否定

 Colummn 14 訳しにくい語(3):manage

9)使役用法と再帰用法

 Colummn 15 訳しにくい語(4):engage

3 意味の強弱

1)be described as, be reported to be

2)as well as, along with

3)one of ~

4)one or more of ~

 練習問題

 Colummn 16 以上? 以下? 未満?

 練習問題解答例

Chapter 3 よりわかりやすい訳文へ

1 訳文のつながりに気をつける

1)語句と語句の距離

2)語句と語句の一致

 Colummn 17 訳しにくい語(5):acknowledge

3)修飾語と被修飾語

4)語順の変更

 Colummn 18 英国のlearning disability

5)文と文のつながり

2 訳文の言い回しに気をつける

1)曖昧さの排除

 Colummn 19 puberty とadolescence

2)ニュアンスの訳出

 Colummn 20 You may( might) want to

3 日本人にわかるように気をつける

 練習問題

 Colummn 21 訳さない翻訳

 練習問題解答例

Chapter 4 より読みやすい訳文へ

1 訳文のリズムに気をつける

1)同語や同音の繰り返し

2)言い回しの統一

 Colummn 22 「たり」

3)括 弧

 Colummn 23 apparent(ly)

4)訳 注

2 訳文の視覚情報に気をつける

1)中 点

2)読 点

3)句 点

4)コロン(:)やセミコロン(;)

5)スラッシュ(/)

6)強調字体

3 原文の固有名詞に気をつける

1)人 名

2)薬品名

3)書 名

4 訳文の硬さに気をつける

5 訳文の統一に気をつける

Chapter 5 訳し終わったら

1 最終チェック

2 訳者解説

3 やっと完成

第2部 日本語 ➡ 英語   前平謙二

文献一覧

Introduction ▶

Chapter 1~3 思考を“可視化”する① 日本人的思考 vs 西洋人的思考

Chapter 1 意味の強弱―英文のセンテンス構成要素の強弱

1 意味の強弱と強調のヒエラルキー

2 Nominalization(名詞化)を避ける

3 文末での強調

4 既知の情報と新規の情報

1)sinceの役割

2)becauseの役割

 練習問題

5 その他の強調のテクニック

1)倒置(inversion)

2)分離(isolation)

6 まとめ

 練習問題解答例

Chapter 2 センテンスの強調構造パターン―9つの基本文型

1 loose sentence:散列型センテンス

2 cumulative sentence:累積型センテンス

3 periodic sentence:掉尾型センテンス

 Colummn loose sentenceとperiodic sentenceの特徴

4 balanced sentence:バランス型センテンス

5 segregating sentence:分離型センテンス

6 freight-train sentence:連結型センテンス

7 triadic sentence:トライアドセンテンス

8 parallel sentence:並列型センテンス

9 convoluted sentence:主節分割型センテンス

Chapter 3 英作文 まずはこのルールから:reader expectation(読者期待)

1 ルール1 主語は情報の起点.主語の導入を遅らせない

2 ルール2 文末はセンテンスの着地点

3 ルール3 文末焦点

4 ルール4 センテンスは文頭と文末が重要

5 ルール5 センテンスは文頭よりも文末が重要

6 ルール6 ワンセンテンスワンメッセージの原則を正しく理解する

7 ルール7 情報は既知の情報から新規の情報に流れるほうがわかりやすい

8 ルール8 情報は時系列に配置する

9 ルール9 パラレル構造を効果的に使う

1)相関接続詞を使った例

2)単語の形態をそろえて並置した例

3)語句の構造をそろえて並置した例

4)節の形態をそろえて並置した例

5)並置される要素を時系列や重要度の順で並べた例

Introduction ▶

Chapter 4~7 思考を“可視化”する② 読者期待に沿う英文センテンス構造

Chapter 4 英文情報配列11のパターン

1 cause ➡ effect

2 chronological order(past ➡ present)

3 negative ➡ positive

4 put shorter adjectives first

5 avoid front-loaded sentences

6 emphasis at the beginning or at the end

7 inverting word order

8 old information ➡ new information

9 use passive voice for emphasis

1)能動態で行為者を,受動態で受動者を強調する

2)客観性をもたせるために受動態を用いる

10 simple ideas first

11 express core message in S and V

Chapter 5 使いかたが紛らわしい語句・表現

1 due to ~:が原因で,~ので because ofとどう違うのか?

 練習問題

2 compared with ~,compared to ~ “~と比較して”

1)compared with か,compared toか

2)compared ~を名詞の直後に置かない

3)absolute statementは比較できない

4)compared ~は主節の主語を修飾する

 練習問題

3 byで手段を表せるか? ~を使って

4 using, with で手段を表す ~を使って

 練習問題

5 based on ~は副詞句ではない ~に基づいて

 練習問題

6 statistically signifi cant “有意な” の誤用

7 initiate, commence, start, begin 開始する

8 use, utilize, employ 使う

9 perform, carry out, execute 実行する

10 administer, give, inject 投与する

11 case, patient “例”は症例か患者か?

12 “目的”はpurposeかaimかgoalか? ~の目的

13 as for ~ ~に関しては

14 such as ~など

1)such asとfor exampleの違いについて

2)such asとincludingの違いについて

3)such asの制限的用法と非制限的用法について

15 thereforeとthusとhenceの使い分け ~したがって

1)henceの基本的意味

2)thusの基本的意味

3)thereforeの基本的意味

 練習問題解答例

Chapter 6 よりシンプルな言葉を使う

1 ameliorateよりもimproveやreduceを使う

2 alleviateよりもreduceやrelieveを使う

 練習問題

3 exacerbateよりもworsenを使う

4 aggravateよりもworsenを使う

5 manifestよりもshow, present, occurなどを使う

6 hemorrhageよりもbleedingを使う

7 demonstrateよりもshowを使う

8 exhibitよりもshowを使う

9 experienceよりもshowやhaveを使う

10 evaluateよりもexamineやmeasureを使う

11 revealよりもshowを使う

12 remain to be elucidatedよりもremain unknownを使う

13 controversialよりもdebatableやuncertainを使う

14 approximatelyよりもaboutやalmostを使う

15 followingよりもafterを使う

16 prior toよりもbeforeを使う

17 last yearsかpast yearsか?

18 ifよりもwhetherを使う

19 with respect toよりもaboutやoverを使う

20 compriseかconsist ofか?

 練習問題解答例

Chapter 7 情報を整理する

1 ヒント1:句読点の使いかた

1)セミコロンについて

2)コロンについて

3)ハイフンについて

4)ダッシュについて

2 ヒント2:センテンスの長さに変化をつける

3 ヒント3:能動態と受動態の使い分け

4 ヒント4:and の多用を避ける

5 ヒント5:「~がある,存在する」をthere is/areで表現しない

6 ヒント6:関係詞whichとthatの使い分け

7 ヒント7:whichで情報をつないで曖昧で長いセンテンスをつくらない

8 ヒント8:先行詞と関係詞を離さない

9 ヒント9:現在完了は現在時制の表現型の1つ

10 ヒント10:論文の各パートでの時制の使いかた

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784787881960
  • ページ数:340頁
  • 書籍発行日:2024年12月
  • 電子版発売日:2024年12月3日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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