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- 宮地 良樹
- 基本薬の選び方と使い方のコツ~日常診療でのスタンダードを使いこなす
商品情報
内容
日常処方する事の多い分野の薬ほど種類が多く,選択に迷うことが多い.本書では①処方頻度が高く,②原疾患の治療に必要な薬剤,③長期間投与する薬剤を「基本薬」と位置付け,その中の第一選択薬を臨床のエキスパートたちが精選.解熱鎮痛薬から高尿酸血症薬まで27ジャンルの薬を解説.豊富な処方例,注意すべき副作用から奏功しないときの対応にまで言及し,明日からの診療に即活用できる,研修医,一般内科医必携の一冊.
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序文
序文
2008年に文光堂から『頻用薬の選び方・使い方』という本を出版し,好評を得たが,こちらはどちらかというと一時的な処方,対症療法的な処方として出される薬品が中心であった.
今回は処方の頻度が高く,なおかつ原疾患の治療に必要な薬剤,あるいは長期間投与する薬剤を「基本薬」と位置付けて選んだ.
本冊子の具体的なコンセプトは,
●研修医,一般内科医(開業医を含む)を対象とする
●自分が処方する状況を想定した場合の薬剤を挙げる
●日常頻度の多い疾患に対して自分が使いこなせる薬を持てるようになることを目指す(薬剤の特長,副作用を熟知している)
●当該疾患患者全てをカバーする薬の品揃えはしない.およそ7割程度ぐらいの症例がmanageできればOKとする
●薬剤は多くを列挙しない.できれば代表的薬剤2〜3種類にとどめるとした.
今は良い薬があふれていて,実際に処方をしようと思うと薬の選択に迷ってしまう.とくに幅広い領域の疾患を取り扱う研修医や一般内科医は
そうだと思う.研修医や一般内科医にとって,薬剤は効果が確実で,副作用が少なく,しかもできるだけ少ない種類の薬剤で多くの患者をカバーできるのが理想である.
いろいろな薬を使った経験がなければ,本当に良い薬は容易にはわからない.当たり前のことであるが,薬のことは,処方機会が多く,しかも多様な病態に対応している専門家が一番よく知っている.ならば,その領域に精通した専門家に聞くのが一番手っ取り早い.しかし,専門家に薬の処方の原稿を依頼すると,そこには長年の経験に培われた処方のコツのようなものが含まれるのだが,細かな病態に応じて多くの薬剤を列挙されることが多い.これだと一般内科医や研修医の求めているレベルを凌駕していて,結局は何を処方してよいか迷ってしまうのである.
そこで,執筆の先生方には,多数の薬がある中からできるだけ少数の薬剤に限定してもらうようお願いした.また薬の処方に当たっては,薬の性質をよく理解した使い慣れた薬剤を使用するのが最も安全である.医師が早く薬に慣れるには,薬品数を限定するのが一番有効と考えたからである.難しい注文に応じていただいた執筆者の先生方にこの場を借りてお礼を申し上げる.
別の観点でいえば,本冊子で紹介した薬剤でコントロールが難しい疾患や病態であれば,専門家に依頼して薬剤を合わせてもらえばよいと思う.そして専門家の処方を踏襲すればよいのである.こうした割り切り方が実際の診療ではより実践的であり,ある意味患者にとっても誠意ある対応だと思う.
最後に,読者の方にお願いしたい注意点を二つ.まず初期研修医の場合は,自分で処方を決めた場合,必ず上級医のチェックを受けること.二つ目は,処方箋を書けば処方が済んだのではない.患者はきちんと薬を服用しているのか,予想された効果は現れているのか,何か副作用は出ていないのかを必ずチェックする必要がある.これらをチェックしてはじめて処方したことになる.
2013年4月
天理よろづ相談所病院白川分院院長
郡 義明
目次
1 解熱鎮痛薬(NSAIDs)
2 抗菌薬
3 降圧薬
4 利尿薬
5 抗狭心症薬
6 抗不整脈薬トピックス① 循環器系くすり合剤─循環器系の合剤の使用上の注意,考え方について─
7 心不全治療薬
8 抗血栓薬(抗凝固薬,抗血小板薬)トピックス② 手術時の抗凝固薬・抗血小板薬の中止はどうする?
9 抗てんかん薬(AED:antiepileptic drug)
10 抗パーキンソン病薬
11 片頭痛薬
12 抗不安薬,抗うつ薬
13 睡眠薬
14 経口糖尿病治療薬
15 インスリン製剤
16 甲状腺疾患治療薬
17 スタチン
18 骨粗鬆症治療薬トピックス③ 骨粗鬆症の予防療法(ガイドライン)
19 吸入ステロイド薬・吸入気管支拡張薬
20 酸分泌抑制薬トピックス④ ピロリ菌除菌療法
21 貧血治療薬(鉄剤)
22 ステロイド
23 免疫抑制薬トピックス⑤ 免疫抑制薬の血中濃度コントロール
24 抗リウマチ薬(DMARDs)
25 強オピオイド鎮痛薬
26 前立腺肥大症治療薬
27 高尿酸血症薬トピックス⑥ 抗体医薬
索引
【メモ】
▪プロドラッグって?
▪選択的COX-2阻害薬
▪バイオアベイラビリティ(bioavailability)
▪病院内感染症
▪fever workup3点セット
▪国内で承認された抗菌薬投与量について
▪J-WIND試験
▪IONA試験
▪ニコランジルのpleiotropic effect( 多面的作用)
▪ジゴキシン血中濃度の測定のタイミング
▪不整脈に適応のある他のβ遮断薬
▪メキシチール®の作用機序
▪ジゴシン®の作用機序
▪ジゴシン®の心不全に対するエビデンス
▪心拍数コントロールの指標
▪至適血中濃度は?
▪ジギタリス中毒のときの注意
▪てんかんに対する注射薬
▪悪寒戦慄とてんかん
▪薬剤の力価・服用回数
▪第2世代,第3世代のAED
▪デパケン®による高アンモニア血症
▪『パーキンソン病治療ガイドライン2011』
▪パーキンソン病と特定疾患
▪悪性症候群
▪アロディニア
▪薬物乱用頭痛
▪オイグルコン®
▪インクレチンとは?
▪プロホルモンって?
▪甲状腺機能低下症の症候って?
▪遊離型って?
▪無機ヨードって?
▪バセドウ病の寛解って?
▪メタ解析
▪一次予防と二次予防
▪海綿骨と皮質骨
▪骨粗鬆症とは
▪最近報告されているビスホスホネート関連の副作用
▪ドライパウダー吸入器吸入薬と定量噴霧式吸入器吸入薬
▪ LABAとSABA
▪喘息発作における短期間経口ステロイド薬投与
▪吸入ステロイド薬・長時間作用型β2刺激薬配合剤
▪CYP
▪ラセミ体
▪ステロイドパルス療法って?
▪新人研修医へひとこと
▪過活動膀胱って?
▪PSA値
▪腎機能に応じたザイロリック®の使用量の目安
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書籍情報
- ISBN:9784830610172
- ページ数:352頁
- 書籍発行日:2013年3月
- 電子版発売日:2021年10月1日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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