演習問題で学ぶ漢方薬処方マスター

  • ページ数 : 274頁
  • 書籍発行日 : 2011年10月
  • 電子版発売日 : 2013年1月1日
3,740
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商品情報

内容

本来の漢方診療とは独自の漢方理論に従い、診察にも治療にも時間をかけるスローペースな医療です。しかし、現場で実際に求められるのは「雑多な症状から患者の“証”を瞬時に見抜き、多くの漢方エキス製剤から適切なものを素早く選ぶ」能力であることもまた事実です。漢方薬を素早く正確に使い分ける力を養うため、本書では107の問題を用意しました。ありがちな愁訴や疾患に対応するための基礎トレーニングに最適です!

序文

○漢方治療は「数者択一」

漢方診療とは本来,患者の訴えにじっくり耳を傾け,本文中で述べたように漢方独自のやりかたでしっかりと診察を行い,漢方独自の理論に従って診断をし,個々の患者に応じて生薬(薬草のうち日本薬局方などで正式に薬と認められたもの)を選び,それらを漢方理論に従って組み合わせて処方するものです.患者は処方された漢方薬を家に帰って,コトコトと時間をかけて煎じたものを服用するのです.診察にも治療にも時間をかけ,大変ゆったりとしたペースで進む医療です.

しかし,これは理想論です.医師のほうでは,現実の漢方診療,とくにそのほとんどを占める漢方保険診療では,外来に押し寄せる患者をそれこそ数分単位でどんどんさばかねばならないのです.手際よい診察といっても限度があります.患者のほうも,話はじっくり聞いてもらえないし,しかも彼ら自身も忙しくて,薬をゆっくり煎じている暇なんかありません.使える薬は漢方エキス製剤にほぼ限られてしまいます.

となると,種々雑多な症状からキーとなるものを瞬時につかまえ,患者の「証(しょう)」(≒病態.本文を参照)を見抜かねばならないのです.処方についても,保険適応となっている多々ある漢方エキス製剤から「選択肢」をパッといくつか思い浮かべ,適切なものをいかに素早く選ぶかという作業が必要になります(患者も,漢方エキス製剤なら服用,携帯にも便利です).これをわずか数分間でやらなければならないのです.

さて,医師のこの作業は何かに似ていないでしょうか?...そう,これはまるで大学入試のセンター試験(それ以前は「共通一次試験」)のような「数者択一」ですね.漢方の場合は選択肢を自分で用意しなければなりませんが,それでも各メーカーの「漢方薬の手引き」や,それを一覧表にした,通称「下敷き」を見ながらであれば,多くの場合,選択肢はせいぜい3~5処方に絞られるので,あとはその選択肢を吟味して絞り込み,「正解」にたどり着けばよいのです.


○漢方診療を身につける近道とは

この本を手に取られる方であれば,「漢方薬の手引き」や「下敷き」は誰でも持っているはずです(なければ各メーカーにすぐにもらってください).医師であれば,まったくの初心者でもそれを見ながら漢方薬を処方することは何とか可能です.しかし,それだけでは漢方理論抜きになってしまいますから,漢方治療とはもちろんいえません.

ところで,漢方薬には似たものが多く,いかにその差を理解して使い分けるかが漢方治療のキモです.「この漢方薬でなくては」という場合もあれば,「どちらでもいい」という場合もあります.「あちらのほうがいいが,これでも何とかなる」という場合だってあります.本書では漢方理論を踏まえつつ,各漢方薬の使い分けに焦点を当てています.

さて,本というのは,説明をだらだらと読んでいてもつまらないものです.頭にも大して残りません.漢方診療もなかなか上達しません.それよりも,実戦形式で問題を解き,解説を読む.さらにこれを繰り返すほうが,入試や国家試験を突破してきた医師にははるかに漢方学習の近道ではないかかと思います.

本書の記述方法を見て,「いきなり演習か?」と異論はあるでしょうが,先の話でもおわかりのように,漢方保険診療の実際は「数者択一」です.ですから,漢方保険診療が上達するには,「数者択一」力を鍛えればよいわけです.これが上達への最短距離なのです.「いきなり演習」をやってしくじっても,紙上演習ですからどんどん間違えてもOKです.

本書を乗り越えて,さらに本格的な漢方の学習に入っていただければ幸いですが,はたして,漢方を専門としない普通の医師にそれがどこまで必要なのかはわかりません.きちんとした「数者択一」ができれば,それは現代の漢方治療としては及第点をもらえるはずだと筆者は思います.


2011年10月

入江 祥史

目次

基礎編(理論や診察に関する問題)

本編(実際の治療・処方に関する問題)

各処方の考え方・使い方

漢方薬一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784498069008
  • ページ数:274頁
  • 書籍発行日:2011年10月
  • 電子版発売日:2013年1月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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