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医学のあゆみ289巻13号 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開

  • ページ数 : 236頁
  • 書籍発行日 : 2024年6月
  • 電子版発売日 : 2024年6月26日
¥6,600(税込)
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商品情報

内容

・血管,リンパ管の機能不全は,動脈硬化,高血圧,肺高血圧症,浮腫などの疾患を引き起こす.また一方で,過剰形成は,がんや糖尿病網膜症の病態進行を促進する.
・シングルセルRNAシークエンシング技術の進展により,血管を構成する細胞の臓器,疾患における多様性が明らかになるなど,血管研究は大きなパラダイムシフトを迎えようとしている.
・COVID-19でも血管の機能不全が重症化の要因とされたことで,血管の形成や機能を制御するメカニズム解明の重要性は高まった.また,国内において様々な血管疾患への効果的な治療法が開発されつつある.

序文

はじめに


われわれの生老病死のすべてに関わる血管は全身に分布し,すべての臓器の恒常性を維持するのみならず,さまざまな疾患の発症・進展を制御している.また,リンパ管は体液の恒常性を維持するために重要な働きを果たしている.血管,リンパ管の機能不全は,動脈硬化,高血圧,肺高血圧症,浮腫などの疾患を引き起こし,がんや糖尿病網膜症などにおいては過剰に形成された血管とリンパ管が病態の進行を促進する.

血管新生の研究は,1787年にJohn Hunterがトナカイの角における新生血管の形成を表現するのに“angiogenesis”という言葉を用いた論文を起源とする.また,19世紀末には「人は血管とともに老いる」という言葉を残したWilliam Oslerが動脈硬化や血栓症の理解を深め,オスラー病〔遺伝性出血性末梢血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)〕などの血管疾患にその名を残した.20世紀後半には,Judah Folkmanが腫瘍血管新生の概念を提唱し,がん治療における血管研究の重要性を示した.彼の研究は血管新生阻害薬の開発につながり,血管生物学の新たな展開をもたらした.これらの先駆者たちの業績が,現在の血管研究の発展を支えている.

近年のシングルセルRNAシークエンシング技術の進展により,血管を構成する細胞の臓器または疾患における多様性も明らかになりつつあり,血管研究においては大きなパラダイムシフトが起きつつある.さらに,記憶に新しい新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいては,血管の機能不全が感染症の重症化の要因となることが注目を集め,血管の形成や機能を制御するメカニズムを解明することの重要性は過去にも増して高まっている.また,さまざまな血管疾患に対する効果的な治療法が,本国の多くの研究者によって開発されつつあり,臨床応用への展開に注目が集まっている.

そこで本特集「血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開」では,血管・リンパ管の基礎・応用研究における第一線の専門家に執筆をお願いした.ご協力をいただいた諸先生方には,ここに厚く御礼申し上げます.

この特集が,血管・リンパ管研究者のみならず,さまざまな分野の基礎生物学,そして臨床研究を進めている多くの先生方,そして若い大学院生・学部生の参考になり,より多くの研究者が「血管・リンパ管っておもしろい!」と思ってもらえるきっかけになることを期待している.


渡部徹郎
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科病態生化学分野

目次

はじめに  渡部徹郎

血管の形成と制御因子

血管内皮細胞の多様化  山下 潤

血管壁細胞の分化決定メカニズム  栗原裕基・岩瀬晃康

VEGFとその受容体システムの血管新生,がん,炎症,

妊娠高血圧症候群への関与  澁谷正史

Tie2受容体活性化による血管安定化の誘導と血管病治療戦略  髙倉伸幸

TGF-β・BMPファミリーによる血管形成制御と機能維持  伊東史子

Ephrinファミリーによる血管形成制御  松野愛瑠・他

抗血管新生因子─血管新生のブレーキ役としての血管新生抑制因子  小林美穂

血管形成・血管新生・成熟化を担う転写制御ネットワーク─内皮エピゲノム環境に基づく転写制御  南 敬

血管構築と血管機能・病態

メカノセンシングを介した血管細胞の分化誘導  山本希美子・安藤譲二

血流に起因する力学的刺激が創傷治癒過程の血管新生を制御するメカニズム  弓削進弥・他

プロスタグランジンによる血管透過性の制御  村田幸久・他

造血幹細胞ニッチを形成する新たな血管起源の解明─内皮細胞の起源が血管多様性に与える影響  中嶋洋行

動脈管の分化と閉鎖の分子機序  横山詩子・他

血管の臓器・疾患特異性とその変容の制御機構

シングルセル解析による血管内皮細胞の細胞多様性研究  射場智大・内藤尚道

骨血管の多面性─部位による形態学的,および機能的差異  伊賀隆史・久保田義顕

血管内皮細胞が制御するがんの進展  樋田京子

がんの進展と転移における内皮間葉移行の役割  高橋和樹

血管狭窄時の内皮間葉転換の役割  山城義人

低酸素シグナルによる心血管リモデリング  砂河孝行・武田憲彦

リンパ管の形成と関連する病態

リンパ管形成を制御するシグナル  杉山 彰・平島正則

FOXC転写因子によるリンパ管形成制御機構  久米 努

リンパ管の恒常性維持機構  吉松康裕

リンパ管腫の増悪メカニズムに対する考察と展望  山本誠士

血管の炎症と老化

血管の老化と慢性炎症  真鍋一郎

動脈硬化性疾患克服に向けた新規脂質異常症治療薬の開発  深水大天・尾池雄一

血管の老化とその治療,再生,若返り─細胞老化の視点から  勝海悟郎・南野 徹

血管バリア機能の制御による重症感染症治療の可能性  岡田欣晃・白倉圭佑

血管研究のフロンティア

組織微小環境を制御するアンジオクラインシステム  木戸屋浩康

三次元微小血管モデルを用いた組織構築による疾患・生体現象の解明  近藤 誠・他

再構成解析系を駆使した血流による血管新生の生体力学機序の解明  西山功一

血管機能の代謝調節  有馬勇一郎

血管疾患と血管を標的とした治療法

IL-6シグナルによる肺動脈性肺高血圧症の病態形成機構  中岡良和・稲垣薫克

心血管系の恒常性を維持する大動脈弁の役割と弁石灰化メカニズム  坂上倫久

遺伝性胸部大動脈瘤・解離とゲノム医療  八木宏樹・赤澤 宏

動脈硬化の病態と治療法の開発─心外膜脂肪組織の治療標的としての可能性  田中君枝・佐田政隆

心血管病の炎症における酸化ステロールの分子生物学的役割の解明  香月俊輔・的場哲哉

高血圧を標的とした治療ワクチンの開発  中神啓徳

虚血肢治療用血管再生遺伝子治療製剤の開発  森下竜一

糖尿病性血管障害の発症機序と予防方法  大塚憲一郎・福田大受

網膜疾患における血管をターゲットとした分子標的治療  取出 藍・中尾新太郎

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書籍情報

  • ISBN:9784006028913
  • ページ数:236頁
  • 書籍発行日:2024年6月
  • 電子版発売日:2024年6月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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